最初に必要なこと

近代私法の四大原則とか、罪刑法定主義とか、立憲主義とか、弁論主義とか、近代的な諸原則をいろいろ習うが、それ以前に法律が暴力であり、正統性なしにそれを行なえば犯罪に他ならないことを知らなければならない。これを知らずに形式的な勉強をいくらしても法律知識は身につかない。

 法律の執行は統治作用であり、統治行為は全て暴力行為である。法を正義であり真っ白な布だと思ってる学生が多いが、まずはここを治さなければならない。

勿論、恫喝や罵倒、不利益取扱いを繰り返しても弁護士にはなれない。しかし、教壇に立っている人間がそれを躊躇わない人間だということを知らないと、一方的な不利益を受けるだけになる。

 法律の執行は暴力である。従って法と執行者の正しさを担保する政治的正統性こそが最初の一歩になる。日本はこの権力の正統性が不安定なので初学者が独学で法律を学ぶことができない。

ザックバランであってはならない。常に慎重で疑い深くなければならないのだ。

 

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もう一つ重要なことは、「法の支配」ではなく「人の支配」が行なわれていることだ。「法の支配」に対立するのは「法治国家」だと習うが、ここでいう「法治国家」とは「人の支配」のことである。

「人の支配」の特徴は恐怖をもたらす者に諂(へつら)い、服従を誓うことである。人への服従であるから政治思想(イデオロギー)はない。政治思想がないからルールには普遍性がない。日本法の世界は諂う者と独立性を保つ者に分かれる。あえていうなら、専制支配、封建主義といった一対一の支配服従関係を基礎にした虚栄維持の政治システムである。

これが法科大学院の授業にどう反映されるかというと、教員や一部の学生への崇拝と恫喝、性行為の強要等が行なわれる。「人の支配」であるから当然、アンフェアな判断が発生するが、不当な判断への批判は暴力と欺罔で沈黙させる。

政治思想そのものを嫌う政治は不安定で継続性のないものになる。

 あなたが司法試験に合格したいならば、このような「人の支配」に隷従する必要がある。避けることはできない。