法科大学院へ行ってはならない。

 法学部の外から弁護士になるために法科大学院へ入学してみようかと考えている方に忠告しておく。法科大学院へ行ってはならない。司法試験を受験しようとも考えてはならない。

 

 外部から来た人間がある組織に受け入れられるのはその組織が外来者に開かれた民主的なものだからであるが、日本の法律家集団(法曹界)は完全に排他的な組織であり、法学部の外部からの人材を一切受け入れていない。

 

 法学部外からの合格者もいるではないか?と思うだろう。それは法学部のキャリアルートに完全に同化(コピー)できた「同化者」であって、一般の市民、学生が素直に法律を理解できたり弁護士に成長したりする養成モデルは法科大学院には存在しないのだ。

 要するに、多様なキャリアをもった人間は採用しない。単に専制国家(暴力による統治を最高の政治原理とする国)型司法官僚(法律の執行を仕事にする専制者の高級奴隷)の採用試験を民主政の外観を作るために公開で行なっているだけなのである。

 

従って、外部からやってきた学生、サラリーマン、主婦、無職の人間等には一切チャンスはない。それでも弁護士にならなければ、中間的なレベルで社会矛盾を是正することはできない。是が非でもならねばならない、という方は、意を決して、上記のとおり、既成の権力と判断(判例)への同化(へつらい)を徹底することだ。はっきりいうが、左派の弁護士、弁護士政治家も受験生時代は単なる同化者である。

あなたは自由への希望の一切ないところから始めなければ、法律家として市民的自由を切り開く一歩を踏み出すことはできない。

自由を実現するのに、政治や弁護士だけが道ではない。しかし、弁護士としてそれをやるつもりならば、まずは専制支配の真っ暗闇をたった一人で歩いていく覚悟から始めなければならない。

日本の法律家業界はクレタ島であり、「クレタ島パラドックス」が該当する。

「『クレタ島の人間は全て嘘つきだ』とクレタ島から逃げてきた人間がいった」

この場合、クレタ人と逃げてきた人間のどちらが正しいのか?勿論、逃げてきた人間である。彼だけが真実をもたらすプロメテウスである。

法律家(裁判官、検察官、弁護士)と法学生の嘘を明らかにする批判者の声を聞かなければ外部者が法律の世界に入ることはできない。伊藤真を始めとする予備校にもこの役割はない。これができるのは哲学的な素養のある者だけである。

 

私の言葉に耳を傾けるべきである。その上で、なお外部から法律家たらんとするならば、既存の法律家・法学生たちからのあらゆる嫌がらせと暴力に立ち向かう覚悟をもって臨まなければ、あなたの目的は達成されないだろう。